個人事業主の節税は経費を知ることから

フリーランスとして個人事業主になるなら、税金についての知識は欠かせない。個人事業主は税務署に開業届を提出し、事業所得として申告・納税する。事業所得、とくに所得控除額でメリットがある青色申告を利用することは、小さな会社の決算とほぼ同じだ。売上から経費を差し引いたものが利益となり、それが課税のベースになる。そのため、正しく節税するには経費についての理解が大切だ。
当然ながら、領収証をすべて取っておけば経費になるわけではない。個人事業主には仕事の取引主体と、一般個人としての経済生活の二面があり、後者は事業の経費に含まれない。例えば、エンジニアとしてリテール決済システムをハワイへ見学に行き、パッケージツアーの旅費を経費に含めても通常は認められないのだ。個別のプロジェクトに必要な費用なら問題はなく、システム開発などの原価計算と捉えれば理解しやすいだろう。
もちろん、個人事業主として事業を行なうためのパソコンへの投資をはじめ、スペースコストや光熱費などは、あらゆるプロジェクトに共通するコストとしてルールに従って経費にできる。その場合でも、当然ながら事業と一般個人の生活用は、切り分けなければならない。
節税と経費を誤魔化すことは、全く異なる。事業に紐付けできる費用はもれなく洗い出して帳簿に記載し、税務上のルールに従って経費にしていくことが重要だ。そこが節税の要になるが、近年ではクラウド会計システムなどで帳簿管理は容易になっている。